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    「うむ、うむ」

    「ほう、この家鴨あひるの嘴みたやうな金具は、こりや何かな。ほう、こりやよく光る小刀だな。こんなに何本も何に使ふのかな」

    房一は生返事をしてからふり向き、うなづいて見せた。彼はよく聞いてはいなかつた。

    「さうです、一寸」

    さう声をかけながら、練吉は近眼鏡の下から切れ目をぱちぱちさせ、気安げに、眠つている道平の顔の上にのぞいた。

    「何を云うとる。すまじきものは宮仕へ、といふぢやないか」

    と、房一は訊いた。

    と、一向にそんなことを知らない房一が云つた。

    「それは、せんせいのお考へに任せますわ。――ですが、今日のことは、ほんの内輪の間違ひやさかい、そのことは含んどいてもらはんと困ります。よろしいな。――内輪のことや」

    かりるに当って女房が挨拶に行ったら、温泉のぬるいことを例外なく念を押して、

    と後を追ふと、徳次は

    「ホリョ?」

    別に会ふ気がなかつたから、と云ふ代りに、

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